2018年にビットコインを初めとしたブロックチェーン利用による仮想通貨群はどれもこれもが、フィアット通貨=リアル通貨に対して数分の一から数千分の1に下落し絶望的に壊滅しました。
ただ単に相場が暴落しただけではなく
数百億円と言う天文学的数字が安全なはずの取引会社のウォレットから盗み出されたり
世界最大のITマネー国家である中国では、仮想通貨の流通のためのシステムに必要なマイニングが禁止されたりと
まさに踏んだり蹴ったりの地獄のような1年が続きました。
それ以前は「億り人」=ビットコインで一気に億単位の利潤をあげた人、という言葉に代表されるように新時代のキャピタルゲインの代表格のようにもてはやされていただけに
2018年から2019年にかけての仮想通貨群の凋落ぶりには目も当てられないものがあります。

分け知り顔のテレビのコメンテーターや、ネット上のユーチューバーの中には
「見たことか!」とばかりに、仮想通貨には実体がないので相場は必ず崩れると思っていた、などと言い出す人も多く出てきています。
実際に暴落直前に仮想通貨の投機的な取引に参加して、大きな損失を出してしまった方も大勢いらっしゃるので
仮想通貨マーケットに積極的に参加していた層からも悲観的な声ばかりが聞こえてきます。
このような状況の中で、仮想通貨は今後の社会の中でどのように扱われていくのか?
過去に人間の歴史の中で生まれてきた新技術を参考例にして
仮想通貨が滅びるのか残るのか、残るとすればどのような形に変わっていくのか?
少し考えてみたいと思います。

まず結論から単刀直入に言うと、ブロックチェーンを使った仮想通貨は今後しばらくの時間をかけて
現在使われている、フィアット=リアル通貨=国家法定通貨、のシェアを大きく奪っていくでしょう。
通貨というも物の役割や性格を歴史の面から考えた時に
最初は金や銀をそのまま通貨として使っていましたが、貴金属は重い上に通貨として固定して使ってしまうと他のことに使えないため大きな社会的損失でもあるので
少額の通貨は安価な金属に置き換えて、高額な通貨は複製の難しい紙に近い材質で作られることが発明されて世界中に広まりました。
そもそも金や銀にしても、それを大量の穀物などに置き換えることについては最初は相当な抵抗があったはずです。
それをさらに紙幣で代替することに対してはもっと強い抵抗感があったはずですが、今では余程に財政状況が悪い国の紙幣でなければど、一応どこの国でも自分の国の紙幣が通貨として流通しています。
複製が難しく安全性が高いという意味では、ブロックチェーンの安全性はほとんど100%に近いので
既に数兆円の規模で流通しているビットコインなどに関しては、今後さらに信用度が増すことはあっても、信用度が減ることはありえないと考えて良さそうです。

仮想通貨は実際には複製による混乱を未然に防ぐブロックチェーンと言う高度なシステムが使われて安全なのですが
飛行機というものに初めて人間たちが乗った時と同じように、自分の足元に地面がないので恐怖心を持つというのは自然な生理現象だと思います。
つまり、仮想通貨というのは国家によって保証されていないし、何よりも実際の物体としての貨幣が目の前にないので
巨大な鉄の塊であるジャンボジェット機が空を飛ぶのが信じられないように、仮想通貨でスムーズに大量の資本が間違いなく移動することも俄には信じられないのでしょう。

こういった感覚的感情的な問題は、20世紀以降の人間がジャンボジェットで空を飛ぶことを怖がらなくなったように
実体のない通貨で商品や労働力をやり取りするということに関しても、意外と早くあっさりと皆が受け入れるでしょう。
既に2019年現在の段階で世界最大と思われる消費市場を抱える中国においては
日常的な小売の大部分が電子マネーによって決済されていますので
世界で最も早く法定通貨が消えて無くなるのは中国かもしれないと囁かれています。

日本は先進工業国ですから、仮想通貨について語られる時はそのほとんどが利便性であったり投機取引であったりしますが
実は仮想通貨にはもう一つの大きな役割があって
それは身分証明書を持っていないために、銀行口座を作ったりパスポートを持ったりすることができない人たちの財産を守るという役目です。
例えば東南アジアのロヒンギャ系の人達であったり、中央アジアのクルド系の人たちであったり
国家を持たないために、人権はもちろんのこと財産の管理手段も持たない人たちのために
数字の羅列さえ正確に管理していれば、どういう悲惨な状況下でも最低限の財産の保全だけは出来るという機能が仮想通貨にはあります。
また、難民ほどの追い詰められた状況でなくてもインドにおける不可触賎民カーストの人々のように、事実上の経済活動の自由を奪われている人達にとっての着実な貯蓄の手段にもなります。
こういった人達の置かれた階層の経済成長率や人口増加率はとても高い場合が多いので
仮想通貨の需要の地力は大変高いと言っていいでしょう。
この層の人達が経済的に力をつけてくればくるほど、仮想通貨群の相場は投機のような一過性の値上がりではなく、実体を伴った強さを持って上昇してくると予想されます。

最後に仮想通貨に長期的に投資する場合の一番の注意点は、私の個人的見解では送金する際のコストパフォーマンスだと思います。
つまり送金する際に必要な電力や待ち時間のコストを低く抑えて、それでいて流出などに対抗できる十分な安全性が確保されているかということです。
ざっくりと言えばこの点に関しては、流通金額で世界第1位のビットコインは蒸気機関車で、流通金額世界第2位のイーサリアムは新幹線位の違いがあると言っていいと思います。
ビットコインとイーサリアムでは送金スピードにもかなりの開きがありますが、それより何よりも送ることのできる情報の質に決定的な違いがあります。
ビットコインの場合はお金に関する情報がほとんどですが、イーサリアムの場合はお金に関する情報はもちろんのこと契約そのものに関する幅広い情報のやり取りすることもできます。
機能ということであれば、何から何までイーサリアムがビットコインを上回っていますが
ではこれからの相場でイーサリアムがビットコインを圧倒していくのかというと
相場はそんなふうに理屈通りには動いてくれません。
但し、このイーサリアムとビットコインの関係をよく観察して比較していくことによって
これから来るであろう仮想通貨相場全体の上昇に上手く乗っていける可能性は高くなると思います。

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